季語 運動会

みなさん、おはようございます。

 

今日、10月10日は1964年(昭和39年)に最初の東京オリンピックの開会式があった日です。

 

コロナ禍での開催となった東京オリンピック2020も無観客ではありましたが、多くの感動を与えてくれました。

 

そこで、今日取り上げます季語は「運動会」です。

 

手元にある歳時記には、天高く空気の澄む秋はスポーツに適し、学校ばかりではなく会社・団体などの運動会も多く秋季に行われる。

 

振れば鳴る紙の旗かな運動会   野村喜舟

 

応援をするのによく使うのが、紙でできた旗です。確かに、振れば振るほど“パサパサ”と音がします。この音が応援に熱が入ると大きくなり、運動会を一層盛り上げます。

 

今日はこの辺りで。では。

 

 

季語 木の実(2)

みなさん、おはようございます。

 

今日取り上げます季語は一昨日取り上げた「木の実」を再び取り上げます。

 

オランダ坂石の継ぎ目の木の実かな

 

宮津昭彦「濱」所収

 

オランダ坂長崎市東山手の旧居留地時代につくられた石畳の坂道、石段で異国情緒漂う長崎市の観光名所のひとつです。小雨が降って石畳がしっとりと濡れたオランダ坂の情景は風情があると言われ人気が高い観光名所となっています。

 

そんな石畳の坂道に木の実が挟まりこんだ情景がおもしろいと感じました。

 

今日はこの辺りで。では。

 

 

 

 

 

季語 寒露

おはようございます。

 

今日は二十四節気のひとつ(17番目)である寒露です。

 

寒露とは現在広まっている定気法では太陽黄経が195度のときをいいます。

天文学ではその瞬間を指しますが、暦では霜降までの間をいいます。

 

では、太陽黄経とは何でしょうか。太陽黄経とは、春分点黄道天の赤道との交点)を起点として、黄道を360度にわけたものを黄経といいます。秋分点は180度、夏至点は90度、冬至点は270度になります。

 

寒露の時期は、露が冷気によって凍りそうになり、雁などの冬鳥が渡ってきて、菊が咲き始め、こおろぎなどが鳴きはじめる頃とされています。

暦便覧では「陰寒の気に合って露結び凝らんとすれば也」と説明しています。

 

汲み置きの水平らかに寒露の日  角川照子

 

予おそらくは土間でしょうか、そこに予め汲み置いた水が凍りついた情景を詠んだ句で、まさに寒露の時期にふさわしいなと感じました。

現在は地球温暖化寒露の時期、10月中旬では、なかなか水は凍りにくいですが、一昔前はそのような情景が見られたと思います。

 

 

   

 

 

季語 木の実

みなさん、おはようございます。

 

今日取り上げます季語は「木の実」です。

 

木の実は“きのみ”とも言います。その名前の通り、木になる実のことですが、一般的には果樹を除いた団栗・樫・椎・栃などの実の総称です。これらの実が秋になると熟して自然に地上に落ちます。

 

本社より末社に降りて木の実かな

藤井圀彦「狩」所収。

 

神社には本社と末社があります。末社とはその神社の祭神に関するお社のことをいいます。ですので、大きな神社になればなるほど末社の数も多くなります。

ともすれば、我々は本社にのみ参拝しがちですが、木の実は末社にも隔たりなく落ちます。自然現象なので当たり前と言えば当たり前ですが、そんな光景が愛らしいようにも感じる一句です。

 

季語 藪からし

みなさん、おはようございます。

 

今日取り上げます季語は「藪からし」です。

 

からしブドウ科の蔓性多年草で、初秋になると丸い実ができて、それが熟すと黒くなります。この草が生い茂ると藪も樹木も枯れてしまうことからこの名前がつきました。

 

からし軍国の父小さきかな

 

木曽岳風子「六花」所収。

最初にこの句を詠んだ時は軍人(旧陸軍の中尉あたりの軍人)だった父親が、戦後平和な世の中になり、高度成長のもと豊かな国になったので、小さく見えたのかなと解釈しました。が、よくよく考えたら、軍国の父は明治・大正生まれの人を指し、昭和・平成の時代になり、父親の威厳が小さくなったということかなと思いました。

 

 

 

季語 鰯雲

おはようございます。

 

今日は季語「鰯雲」を取り上げたいと思います。

秋によく見られるようになる鰯雲は巻積雲のことをいう言葉です。

小さな雲片が集まって、この広がりは小さいことが多いが、一端が水平線まで延びていることもあったり、また、空一面に広がっていることもあります。

さざ波に似たものや魚の鱗のように見えるもの、鯖の斑紋のようなものが見られます。

この雲が出ると鰯が集まるといい、この名前が付きました。

鱗雲や鯖雲と詠むことが出来ます。

 

鰯雲甕担がれてうごき出す  石田波郷

港町だろうか、甕にあたかも鰯が入っているような例えで無風状態で動かなかった鰯雲がやっと動いた様を詠んだ句であろうか。

 

鰯雲百姓の背は野に曲る   中村草田男

鰯雲が出た秋空の下、稲刈りに精を出す百姓の姿がよく描かれていて気に入った句です。似たような情景を詠んだ句があります。

鱗雲百姓地にうずくまり   岸風三楼

 

いわし雲亡ぶ片鱗も遺さずに 上田五千石

小さい雲が集まってできる鰯雲がサッと消えていく様子が潔いと感じて詠んだ一句ではないかと思います。澄んだ秋空に消えていく鰯雲が思い浮かびます。

 

鰯雲暁より鳩舎出払へり   鷹羽狩行

伝書鳩ではないでしょうか。早朝より一斉に飛び立って一羽もいない様子を詠んだ句です。

 

妻がゐて子がゐて孤独鰯雲  安住敦

現代風の俳句でしょうか。親父の威厳などは遠い過去のことであって、妻子も個々に行動していて、相手にされないので孤独感があるのでしょうか。はたまた、長年単身赴任をしているのでしょうか。いろいろと想像してしまう一句です。

 

まだまだ鰯雲の俳句はあります。

鰯雲こころの波の末消えて    水原秋櫻子

鰯雲ひとに告ぐべきことならず  加藤楸邨

鰯雲日かげは水の音迅く     飯田龍太

鰯雲汝の文字みな声をもつ    天野莫秋子

鰯雲炎えのこるもの地の涯てに  石原八束

町内の母を訪う夜の鰯雲     鈴木六林男

海上に出づ鰯雲ことごとく    大野林火

鰯雲湧く手ばたけば寄り来るほど 村越化石

 

今日は季語の「鰯雲」を取り上げて見ました。では。

 

 

 

 

 

 

飯田蛇笏 名句十選

おはようございます。

 

昨日は飯田蛇笏が亡くなった日蛇笏忌でした。

 

蛇笏忌の俳句をいくつかご紹介しましたが、今日はその飯田蛇笏の名句を選んで取り上げたいと思います。

 

谷梅にまとふ月光うすみどり    (春)

桃咲いて風の日輪たかかりき    (〃)

打水のころがる玉をみて通る    (夏)

深山の月夜にあへる蝉しぐれ    (〃)

ゆかた着のこころにおもふ供養かな (〃)

雨の日も茎並みそろう曼珠沙華   (秋)

山僧に遅き月日や鶏頭花      (〃)

山びこに耳かたむくる案山子かな  (〃)

冬の空こころのとげをかくし得ず  (冬)

短日の時計の午後のふりこかな   (〃)

 

今日は飯田蛇笏の俳句を取り上げてみました。では。